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タンスが命を奪う

2020年01月27日

■倒れにくい家具のプロポーション

皆さんこんにちは、中原です。

地震の時、タンス等の収納家具が倒れ

被害を受けている例は数え切れません。

タンス等の収納家具には地震対策が必要です。

 

では、どんなタンスが倒れやすく、

どのような対策をすれば良いのでしょうか。

 

ごく普通に考えれば、薄くて背の高いタンスは倒れやすく、

厚くて低いタンスが倒れにくいことは誰でも想像がつきます。

その厚さ、つまり奥行きと高さの関係を明らかにしている

研究があります。

 

「家具の転倒防止対策に関係する検討委員会」が、

阪神淡路大震災の翌々年(1997年)に

「家具転倒防止等の手引き」に家具のプロポーションによる

目安としてまとめています。

その式は、次のようなものです。

 

高さよりも奥行きがある家具の方が、

倒れにくいと考えることができます。

式で表されると法則のように考えてしまいますが、

実際に測って計算してみて4以上あるからと言って、

倒れないと安心してはいけません。

 

ただ、少なくとも倒れやすいと判定された家具には、

相応の地震対策を考えておくべきです。

 

収納家具というのは、家具屋さんに見学に行っても、

それほど多くの種類の奥行きや高さがあるものではありません。

ましてや、家具のサイズで収納を選ぶものでもありません。

その部屋にある雑多なものを収納するために

選んでおいているものです。

 

そして家具も、

収納されるものの寸法を想定してつくられています。

おおよその奥行きは、薄型で30センチ、通常45センチ、

さらに60センチ前後の家具がほとんどです。

 

これより奥行きがある90センチの収納は、

押入れや物入れとして家の間取りで考えられる収納です。

では、家具としての3種類の奥行きを、

プロポーションの式に当てはめて計算してみました。

すると、それぞれ56センチ、126センチ、225センチ

となります。

奥行きに対して、これよりも背の高い家具には、

地震対策を考えておいた方が良いということです。

 

 

■奥行き45センチの家具が要注意

では、奥行きが30センチ以下の薄型収納とは、

どのようなものでしょうか。

基本的には小物類しか収納できない、

隙間家具としてつくられているものが多いようです。

 

例えばキッチンカウンターの下とか、

洗面所などに置かれるものです。

これらの収納家具の多くは、高さが56センチ以上あります。

基本的には、奥行き30センチ以下の薄型家具は、

地震対策をしなければならない家具です。

 

ただ、重ねて使わない限りは、

比較的低い場所で使われるので、

収納している物が落ちたとしても、

それほどの被害があるとは思えません。

 

また、薄型家具の用途に、

本棚としての機能を求める人も多いと思います。

一般的な本棚は、図鑑やアルバム等の収納を考えて

奥行きが45センチあります。

 

薄型家具は、文庫や新書やハードカバー等、

A4版以下の本棚として使われます。

同じ薄型家具を重ねて壁面を使い切りたいと

考える人もいますが、地震のことを考えれば、

それが最悪の使用方法です。

造り付けの棚と同等になるよう、

しっかりと壁面に固定しておかなければなりません。

 

そして、収納している物が落ちてくることも、

あらかじめ想定しておくことです。

落ちれば割れて飛散するようなものは、

高いところには置かないことです。

 

奥行きが45センチ程度の収納家具は、

とても豊富に品揃えがあります。

リビングやダイニング、そして各個室等、

置かれる場所もたくさんあります。

 

前述の本棚は良い例であり、食器棚も該当します。

こうした家具の高さの基準は126センチで、

一般成人の胸ほどまでの高さと考えれば、

市販されている家具でも倒れやすい収納家具が、

たくさんあることがわかるでしょう。

 

奥行き45センチの収納家具、つまり、本棚と食器棚は、

転倒防止対策を考えておかなければならない

要注意の家具であるということです。

 

では奥行き60センチの収納家具とはどんなものでしょうか。

多くは洋服等を入れるタンスです。

ハンガーにかけた洋服を吊るして並べるのには、

最低でも60センチの奥行きが必要です。

 

おそらく寝室や納戸等に置かれる収納家具です。

ただ、これらの収納家具の多くは、

高さが180センチ程度で、高くても2メートルほどです。

意外にも、計算上は倒れにくい家具ということになります。

 

それでも現実の地震では倒れていることも多いので、

やはり背の高い収納家具は、

地震対策をしておくことに越したことはありません。

タンスは重たいもので、

寝ているところに倒れてくれば命を奪いかねません。

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