欠陥住宅を造らないための7つのポイント
1つ目.住宅会社の施工体制を知ること
欠陥住宅を生み出す要因のひとつに、住宅会社の施工体制があります。
「丸投げ」という施工体制です。
この丸投げがあなたの大切な家づくりを欠陥住宅に近づけてしまう可能性を産み出してしまいます。
どのような仕組みなのかと言いますと、自社で職人さんや協力業者をかかえていない元請の住宅会社が、あなたの家を建てるために、一括して下請け業者にたのんでしまいます。(丸投げ)
そして実際に工事をするのはその下請け業者のさらに下請け(孫受け)の職人さんです。(さらに下請けの、ひ孫受けになったりもします)
つまり、元請(契約した住宅会社)と施工者(実際に工事をする下請け業者や大工さん等)が違うということです。
元請けで契約した住宅会社と施工者が違うため、施工者(下請け)に責任意識が生じにくいのです。
そして、見えないところで手抜き工事をされてしまう可能性がでてきます。
あなたの家を建てるときに下請け業者との関係によって、出来上がる家の品質が変わってしまう怖さがあります。
他社とのし烈な価格競争の末に、コストダウンして受注したあなたの家は、建築会社が利益を上げるために下請け業者に流す金額を叩く、いわば、下請けいじめが横行しやすいともいえます。
あなたの大切なお金が、下請け、孫請け、ひ孫請けの中でどこかに消えてしまうのです。
実際に工事をする職人さんには、本来あなたが支払った分の家の価値がしっかり届かずに、家づくりにかける想いも半減してしまうのです。
家づくりで一番大切なことは、作り手の顔(社長・営業担当者・設計者・現場監督・職人さん・協力業者さん)が見える住宅会社との契約が、欠陥住宅を作らない第一歩なのです。




2つ目.構造見学会に行く!
完成したら見えなくなる部分が最も重要
構造見学会は、工事中の現場が見ることができるよい機会です。
ぜひ参加するべきでしょう。そこでは、その住宅会社の構造と仕様を確認するようにしましょう。
- どんな基礎なのか?べた基礎なのか布基礎なのか
どんな地盤なのか?地盤改良はしたのか?
鉄筋の種類と太さは?コンクリートの厚みは?
など、躯体について質問してみましょう。 - 土台はヒノキなのか集成材なのか?
防腐シロアリ措置のとり方や基礎との緊結方法、
アンカーボルトの適切な配置は?など - 柱・梁の樹種、材寸、またそれらは乾燥材なのか?
ムクか集成材なのか?
いくつのサイズを使っているのか? - 耐震金物・緊結金物の使われ方、
どのような部分に使うのか? - 実際の耐震性能はどのレベルなのか?
- 耐力壁の仕様はどうなっているのか?
- 断熱材は何を使っているのか?その施工方法は?
- 給水管・給湯管の施工方法、
使われている配管の種類はどうなのか? - 排水管の施工方法、
留め方、音への配慮はどのようにしているのか? - 鉄骨住宅なら重量鉄骨造と軽量鉄骨造の違いは?



あなたが考えている家と
同じレベルの家を
見ることが大切です
など、項目を大まかに挙げてみました。
このようなことを構造見学会で確認するようにしましょう。
難しいことは判らなくてもいいので、隠れて見えなくなる部分を
実際に自分の目で確認することが重要です。
いざ着工したときに、あなたの家で粗雑な工事をしていないかを
素人の目で見抜くのは大変です。
けれど、構造見学会などで、模範的な現場を自分の目で見ておくことで、
その違いをなんとなく感じ取れることが出来るようになります。
何となく感じたことは、ちゃんと質問して説明を受けてください。
現場で正直に見せ、あなたが理解できるように説明してくれる
住宅会社を選択するようにしましょう。
構造見学会でなくても、工事中の現場を契約前に見せてもらい、
同じようなポイントについて住宅会社に確認することが重要です。
3つ目.あなたの家をつくる、住宅会社のスタッフの役割を知る
欠陥住宅は、モラルの低い設計士と現場監督が作る
一人目は、あなたの家を設計してくれる設計士です。
驚くかも知れませんが、建築士の資格を持たない人間を、家づくりの仕事に携わらせている住宅会社も多いのです。
設計士といっても建築士を有さずに実務をしている実情があります。
その彼らのモラルが低いことで、欠陥につながる構造的に大きな問題のある不安定な住宅が生まれることもあります。
間取りを優先したために、構造的にぎりぎりの不安定な建物でも建築許可が下りてしまうこともあるのです。
最終的な責任者が、建築士の有資格者であることを確認するべきでしょう。
二人目は、あなたの家の現場を管理してくれる現場監督です。
実際の工事に対して目を配り、チェックするいわば現場の指揮官です。彼らの指示の下で職人さんが動きます。良い現場監督ほど職人さんの言うことを聞きます。
言うことを聞くということは、手抜き工事をさせないことにつながるのです。
現場監督には厳密に言うと建築の資格は必要ありません。しかし、設計士と同様、最終的な責任者が有資格者であることが重要です。現場監督が持つべき資格には、1級・2級・木造建築士や1級・2級建築土木施工監理技士などがあります。
三人目は、工事監理者という役割を持つ人間です。
設計図書通りに、工事がされていることを確認し監理する重要な役割を持っています。
家を建てるときに必要な建築確認申請書に、その名が記載されます。
建築士の有資格者である設計者が、兼ねる場合もありますが、名ばかりの工事監理者となる場合が多いのです。現場監督がそれを兼ねる場合もあります。
現場監督のほうが、より現実的にしっかりした工事監理を行えるでしょう。
いずれにしても名ばかりではなく実際の工事監理者の目が行き届く体制を持っている住宅会社であることが望ましいでしょう。



4つ目.住宅性能保証制度とは?
住宅会社選びは、まず、この制度の登録業者かで判断 !
現在、どの住宅会社にも、住宅の部分によって異なりますが最長10年間、住宅の性能について法律で瑕疵担保責任を義務付けられています。
重要な構造的な瑕疵が見つかった場合、住宅会社は10年間無償で補修を行わなければなりません。
それは、欠陥住宅問題を背景として高品質な住宅を供給し、住宅取得の不信を取り除くために国が2000年4月から施工した法律によるものです。
大手であれ、中小であれ、零細であれ住宅をつくるからには、この法律が適用されます。
ここでポイントがあります。10年間の保証を自社保証制度としているか、第三者による保証制度にしているかによって、違いが生まれます。
大手ハウスメーカーなどのほとんどが自社保証をとっています。
住宅会社が倒産してしまえば瑕疵担保責任を問うことは出来なくなってしまい、
完成後何か重大な瑕疵が見つかった(基礎や骨組みの不良で家が傾いた、
とか雨漏りで家が腐ったなど)としてもその会社が存在していなければ保証は
してくれないのです。
ですので、住宅会社では、その保証制度を第三者機関に委託する場合が多い
のです。万が一住宅会社が倒産してなくなってしまっても大丈夫なのです。
第三者機関が保険でその補修費用の大半をまかなってくれるので、家を建てる
あなたにとっては安心といえるでしょう。
家の価格が高額で、利益率が高いからできる大手ハウスメーカーのような
自社保証の取れない中小零細の住宅会社では、この制度の登録をしてあるか
が判断基準になります。
お客さんの立場になって考えれば必要な措置といえるのです。
また、第三者機関による住宅保証制度の有無は欠陥住宅を防ぐことにも有効です。
なぜなら第三者機関が保証をするということは、当然瑕疵を招いてしまう工事をさせる
ことはできません。
第三者の目が働くことにより、自社の検査だけでは気づかなかったところも
チェックできるという利点がうまれるのです。
(すべてとは言えませんが大手ハウスメーカーでは第三者検査を社内規定で
拒否しているところもあります)
しかし、あくまでも自社保証と第三者機関の保証のどちらが良いか?
という場合の判断基準として考えてください。
そこに頼りきっている住宅会社では安心といえないでしょう。
自社の体制もしっかりとした上で、更なる安心をお客さんのために与えるという
目的で第三者機関の性能保証を採用している住宅会社を選ぶようにしてください。
5つ目.工事中の検査体制を確認しよう
工事中の検査のタイミングを知っておくこと
あなたが立ち会うことが出来なくてもいいのです。
きちんとした検査体制がある住宅会社を選ぶことが必要です。
1.地盤調査の実施、地盤改良工事
地盤調査結果をデータ解析し、軟弱地盤であれば適切な地盤改良工事をする必要があります。
地盤調査報告書の内容は納得いくまで説明してもらいましょう。(第三者機関の性能保証制度利用の場合、ここで一度目の検査がある場合もあります。検査機関によって報告書だけという場合もあります)
地盤調査
地盤改良(鋼管杭)
2.基礎工事
地盤調査結果によって適切な基礎が設計され、細かな仕様がここで決まります。
ちなみにアイホームズの基礎は耐震性能に優れたベタ基礎を標準としていますので、調査結果を待たずに当初から適切な基礎として設計されています。)
現場検査としては、鉄筋の配筋終了時に配筋検査が行われます。図面通りに配筋されているか?鉄筋の種類・径・ピッチ・かぶり厚さなどをチェックします。アンカーボルトとホールダウン金物の適切な設置、位置の確認も必要です。
コンクリートの配合計画書、報告書を現場監督からもらうと良いでしょう。
ベタ基礎(土間床式)
配筋検査
3.木工事
構造検査
使用材料の樹種の確認、材寸の確認、耐震金物の適切な配置、取付方法の確認が必要です。
合わせて耐力壁の仕様・位置についても確認します。緊結金物の適切な設置、釘の種類・間隔についても確認します。
4.屋根・防水・断熱工事
屋根裏・内壁断熱検査
屋根・バルコニー・サッシ・外装材の下地材や防水処理の施工状況を確認します。
断熱材の適切な施工はとても重要です。
なぜなら、家を腐らせる結露という欠陥につながる部分だからです。
5.完了検査
社内検査、役所・第三者機関の完了検査、施主検査を実施します。
社内検査:通水通電試験、床のたわみやキズ、壁の不陸、サッシ・建具の開閉状況、外壁材のシーリングなど施工状況の確認をします。
役所検査:設計図通りに完成しているのかの確認を行います。この検査に合格すると検査済証が発行されます。これは違反建築でない証明にもなります。
第三者機関検査:設計図書通りに完成しているのかの確認を行います。この検査に合格すると住宅性能保証書(基本構造部10年保証)が発行されます。併せて必ずもらってください。
施主検査:ダメ工事の部分を必ずリストアップし、書類として残し、完了の確認を取ってください。
住宅性能保証書
地盤保証書
6つ目.工事中の接し方は?
信用できる会社でも、まかせっきりは良くありません。
なぜなら、家づくりのほとんどは、人間がやることです。
故意に欠陥住宅を作ろうとしなくても勘違い、間違えなどはありえます。
それを防ぐ方法の一つとして、あなた自身が現場に出向くことです。
施主さんが現場に顔を見せることで、現場の職人さんの気持ちも引き締まることでしょう。
けれど度を過ぎてはいけません。
現場監督さながらに、気づいたことを職人さんに直接言う施主さんもいらっしゃいますが、
それはやめたほうがいいです。
ただし現場を見て、気づいたことや不安なことは、必ずすぐに事務員や担当者に伝え
対応してもらってください。
そして、あくまでも、現場監督を通してから職人さんに指示を出すようにしてください。
あなたが直接現場で指示を出すことをしてはいけません。
現場での責任の所在がどこにあるのかわからなくなってしまうからです。
また、現場に入るときは、挨拶をして、作業している職人さんに声をかけてから入る
ようにしてください。
ちょっとした気遣いをしてあげると喜ばれるでしょう。
気持ちが伝わると職人さんも、良くしてあげようという心を持って仕事が出来ます。
職人さんも人間ですから、施主さんによくしてもらえば、自分の仕事で返そうとするのです。
逆に挨拶もせずに、現場に入ってきて写真を撮るだけで帰ってしまうような施主さんは
職人さんに嫌われてしまいます。
良い家を完成させるという共通意識のもとに信頼関係を築くことがお互いに大切です。
7つ目.信頼関係を築けるか・・・
信頼できる社長が経営しているのか ?
最後のポイントは、その住宅会社がモラルを持って良心的な家づくりをしているのかに尽きます。
信頼できる社長が経営している会社なのかが重要なポイントです。
社長のモラルが欠如していると、その下で働く社員・職人もダメな場合がほとんどです。
耐震的に不安定な家の設計や、ずさんな現場管理などで職人の手抜き工事
が起こり、欠陥住宅につながるのです。
設計士・現場監督・職人・スタッフの良し悪しはもちろんですが、
住宅会社の最終的な決定権は全て社長にあります。
特に、住宅会社は、社長のポリシーがその会社の前面に現れてくるのです。
そして、営業マンがどんなに良いことを言っても最終決定権は社長にあります。
どんなにキレイごとを広告やパンフレットにうたおうと
儲け主義の社長の顔にはそれが表れます。
トラブルになったときの対応も、その社長の判断で変わってくるのです。
お客様を大切にする気持ちをもった社長なのか?
全てはそこに尽きてしまうのです。
そして、家は建てて終わり、リフォームして終わりではありません。
アフターメンテナンスなどお引渡し後のお付き合いの方が長くなるのです。
長いスパンで良い付き合いをしていこうとする住宅会社は自分たちも困るような
欠陥住宅は造りません。
長い間にはあなたの担当者が会社を辞めるときもあるでしょう。
そうなったときのことを考えると、会社の軸である社長の考えやポリシーが
非常に大事になってくることを分かっていただけると思います。
トラブルが多い会社だと、社長はなかなか表に出たがりません。
責任の所在をぐるぐるとたらいまわしにされ、解決に時間がかかることが多いのです。
また、経営状態の悪い会社だと、手抜き工事が心配されます。
他社に比べて、安すぎる、話がうますぎる場合は疑ったほうが良いでしょう。
経営状態が悪い会社だと、びっくりするくらい安い金額で請け負って、
工事中に倒産してしまう会社もあるようです。
あなたが値切りすぎることも欠陥住宅を生むもとになってしまいます。
お互いに信頼関係を築けないような住宅会社との家づくりでは、やはり安心できません。
お客様も住宅会社も、ひとつの家づくりを共にしていくパートナーです。
お互いが信頼できて、対等な立場であることが重要です。
信頼関係が築けない住宅会社とはどんなにお得でも契約しないことです。