マンションの耐震性はどう考えるか

■タンスが命を救う

皆さんこんにちは、中原です。

地震で倒壊した家の中から、

奇跡的に救われた事例の中では、

タンスとタンスの隙間にちょうど身体がはまって

助かったという話も、よく聞かれます。

 

木材でしっかりと組み合わされたタンスは、

転倒はしても潰されにくい家具であると考えられます。

タンスは命を奪うものであっても、

逆に命を救うものでもあり得ます。

 

もちろん、倒れたタンスの脇に滑り込めば良いなどという行動は、

まったく非現実的です。

しかし倒れることを前提とした、

置き方を考えられないわけではありません。

タンスは壁沿いに置かれるので、

倒れるとしたら一方向しかありません。

 

もっと単純なのは、たとえば普段、寝ている寝床に横になって、

倒れてきそうなタンスが見えれば、間違いなく置き方が悪く危険です。

たとえ転倒防止の対策を取ってあったとしても、

タンスは倒れることを前提にしなければなりません。

 

せめて寝床の上に倒れてこないように配置しておきたいものです。

逆に、うまく倒れて隙間ができるような配置になっていれば、

天井が崩れてきても命を救われる可能性があります。

 

しかし素人考えのまま思った通りにいかないのが、

危険と言われる事態です。

とにかく、タンスがない場所に就寝するか、造り付けの収納にして、

寝床周辺には倒れてくるような家具は置かないことです。

 

 

■マンションの家具の配置

戸建て住宅ではなくマンションでは、

建物全体の形状に合わせて、家具の配置を考えることもできます。

細長い家具が倒れやすいように、

マンションも揺れやすい方向があります。

 

マンションのような集合住宅は、

平面図として見たときには、たいてい長方形の形をしています。

各戸の平面図ではなく、全体の平面です。

たとえば片側に廊下があれば、片廊下が長いほど、

全体としては長方形の建物になります。

 

長方形の建物は、地震の時、縦長の長辺方向には揺れにくく、

短辺の方向の揺れに対しては揺れやすくなります。

家具が、幅方向、つまり横に揺れることはないけれど、

奥行き方向に倒れるということと同じです。

そうであれば、揺れやすい方向に垂直に家具を配置すれば、

倒れやすいということになります。

 

つまり、片廊下と同じ方向に家具を配置すると倒れやすく、

隣家との壁に沿うように家具を配置すると倒れにくいということです。

 

普通に考えても、このようなマンションでは、

隣家との境に壁があるので、

そこに背を向けて家具を配置することが多いのではないかと思います。

その壁と垂直の方向の壁に沿って、家具を置くと、

地震の時に倒れやすい配置ということです。

 

じつは、こうした建物の形による揺れ方の違いがあることから、

横浜のマンションで杭データ偽装の問題や、

熊本地震での階段部の破損が起きたことにもつながります。

 

L型に配置されたマンションでは、

L型の角の部分で強固につないでしまうと、

そのつないだ部分に地震に対する揺れの力が集中してしまうので、

構造上は離した建物として設計しているのです。

 

そのジョイント部分が、

杭の施工不良と地盤の不同沈下でズレたり、

あるいは地震の揺れの違いから、ぶつかり合うことで問題が発生しました。

それはとりもなおさず、

想定されていた話ということでもありますが、

その想定以上に建物が動いているということでもあります。

 

自分たちの部屋だけではなく、建物全体を見て、

家具の配置も検討しなければなりません。