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収納家具を倒れにくくする

2020年02月03日

■突っ張り棒の取り付け方

家庭に置いてある収納家具の高さは、

多くは180~200cmほどです。

それに対して、一般的な住宅の天井の高さは、

240cm以上あります。

 

ですから、収納家具と天井との間は、

通常、40~60cmほど空いています。

たとえ家具のプロポーションの計算式以上に背が高くなっても、

天井までの造り付け家具になっていれば、

基本的には倒れてくる心配は少なくなります。

家を新築したり、改装したりするのであれば、

造り付けの家具にすることは耐震対策のひとつになります。

 

でも、たとえ造り付けではなくても、

ちょうどピッタリに収まれば、

やはり倒れにくくなると考えられます。

ただ、家具を重ねただけでは滑り落ちることがあるので、

それでは地震対策にはなりません。

 

こんな時、家具と天井との間に、

突っ張り棒を付けることで地震対策とするグッズも

売られています。

これであれば素人でも簡単に付けられるので、

設置している人も多いようです。

 

家具の奥、壁面にギリギリに設置するのが正しい設置方法です。

それは家具が倒れてくる時を想像してみれば、

わかるのではないでしょうか。

家具の下端の手前を軸として、

家具が手前に倒れてくるためには、

奥の部分が持ち上がらなければ倒れることはありません。

 

このような動きの時には、

家具の手前の方に突っ張り棒を設置しても効果はありません。

また、この突っ張り棒が役割を果たすためには、

相手となる天井部分も頑丈にできていなければなりません。

 

建築の現場などを見ていただければわかるのですが、

多くの家では天井は、細かい野緑材を組んで、

簡単に張られているところが多いものです。

 

さらに天井板も、それほど厚くて頑丈なものではありません。

天井板が破れてしまうようでは、

当然のことながら突っ張り棒は役立ちません。

ただ、天井を張るためには、少なくとも壁面に受け材となる

桟(さん)を取り付けてから工事をしているはずです。

 

ですから天井も、30~40cm手前の天井面よりも、

桟に当たりやすい壁際の方が、ずっと丈夫にできているはずです。

突っ張り棒は奥の壁沿いに設置するのが正しい取り付け方です。

 

 

■床の滑りやすさ

ところが、それでもまだ安心はできません。

収納家具にはもう1つの倒れ方があるのです。

その条件は、床の材質の違いによるものです。

それは硬い床であるか柔らかい床の違いによります。

 

基本的には、フローリングや石・タイル等の硬い床の方が、

カーペットや畳等の柔らかい床よりも倒れにくいとされています。

それは、なんとなく人が立っていても、

足元がしっかりしていると考えれば、

わかりそうな気がします。

 

しかし、じつは床の滑りやすさによるものです。

硬い床は滑りやすく、

柔らかい床は食い込んでいて滑りにくいのです。

つまり、滑りやすいほど倒れにくいということで、

それは建物の免震と似たような考え方です。

 

滑りにくいと、

地震による横からの加速度はすべて転倒への力になります。

床が滑れば、一部の力は家具の移動に変わります。

そのため滑りやすい床ほど、倒れにくいのです。

 

この時に、家具の上部が押さえつけられていると、

家具の足元が手前に滑り出してしまって倒れることが想定されます。

そうなると家具の上の奥に設置した、

耐震突っ張り棒は効かないどころか、

転倒の原因にもなりかねません。

 

そのためには、滑りやすい硬い床の上に家具を置く場合は、

市販の滑り止め用のクッション材を下に取り付けた上で、

家具の奥に突っ張り棒を設置します。

 

ここまでしてようやく、地震時の家具転倒の対策となります。

もちろん、これでも不完全な部分がないとも限りません。

しっかりと壁に取り付けた、造り付けの家具とは違い、

転倒の可能性が残されていることを忘れてはいけません。

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