意外なところにある地震対策

皆さんこんにちは、中原です。

新年あけましておめでとうございます。

本年もどうぞよろしくお願いいたします。

 

■強い家だけが地震対策ではない

地震は科学の進んだ現代でも予報は難しく、

いつ起きるか分かりません。

地震の多い日本では、昔からいつの時代でも、

たくさんの地震体験をしてきたはずです。

 

そして建築物こそ、たくさんの地震被害の経験をを積み、

壊れてしまった建物を見ては、より頑丈につくることで

建て方が伝承されてきたのだと思います。

元来、耐震の技術等は、いつの時代でも専門家に任せるしかなく、

棟梁や大工が役割を担っていました。

 

でも、多くの地震では、地面が揺れて確かに驚きはしますが、

必ずしも被害があるとは限りません。

本当に大きな被害を受けるのは限られた地震です。

 

ですから、いつの間にか地震への対処については、

日常的な生活の中に埋もれてしまい、ついつい忘れてしまっています。

また、建物を頑丈にさえすれば、まったく被害は考えられないか

というと、そうでもありません。

 

倒壊という建物としては最悪の被害を避けるのは、

人命を優先しているからです。

また、地震は複合的な被害なので、地震の後の津波や火災等からも、

命を守る対処をしなければなりません。

 

さらに、避難生活が発生すれば、

暮らし方や日常の生活にも被害はあります。

耐震というと、建物の強さの話ばかりになりますが、

住まい方の中にある地震対策とは、どのようなものでしょうか。

 

 

■こんなところに地震対策?

とても身近なところから、地震対策を探ってみましょう。

例えば、キッチンや洗面所の水道カランです。

古いカランはひねって水道量を調整していましたが、

近年になってレバー式のものに変わってきました。

 

指1本で調節ができ、バリアフリーにもなり、

とても便利になりました。

念のため、カランとは蛇口のことです。

ちなみにこのカランという言葉は、

オランダ語の「鶴」からきています。

昔から水道蛇口を「鶴首」に見立てて呼ばれていたものです。

 

建築の世界では、動物の名前がよく使われることがあります。

日本語の「ツルハシ」というのは鶴のクチバシからとったもので、

土を掘る時の道具ですが、似たような形をしています。

実は工事用の重機である「クレーン」も一緒の語源です。

 

この水道カランですが、ひねるタイプでは時計回りに回すと止まり、

逆に回すと水が出てきます。

これらは、日本工業規格のJISで定められています。

 

現在のレバーハンドル式では、下げ止まりが標準規格となっています。

しかし、レバーハンドル式の水道カランがつくられ始めた時には、

規格もなく作動方法は会社によって違いました。

 

その都度動かして、迷いながら動作させる時期もありました。

意外と面倒なものでした。

上げて止めるのは、人間工学的な理由がつけられていました。

水は当然、上から下へ流れるので、

水を出すというイメージそのものでレバーを下げて操作すると

水が出ます。

 

特に急に止めるときなどの反射的な動作を考えると、

上げて止めるのはとても自然で、

下げて止めるのは不自然に感じたものです。

人が直感的に感じるままに操作すれば、作動してくれるのを、

人間工学的と表現していました。

 

しかし、下げ止まりにも理由があります。

人間工学的には不自然でも、水を出す、もしくは止めるという

人の意思がなくても作動してしまうことがあります。

 

例えば、物が落ちてきてレバーハンドルにぶつかるというような

自然現象によって、水が出てしまうことがあるのです。

この規格戦争に決着がついたのは、

1995年に発生した阪神淡路大震災でした。

 

下げ止まり派が主張している通りに、

落下物によって水が出っぱなしになる現象がたくさんあったのです。

特にキッチンや洗面所等、水周りにはたくさんの物があります。

地震の時に落下物がカランに当たるのは、十分に想定できることです。

 

最近ではさらに進化して、

手をかざせばセンサーが反応して水が出るカランもあります。

キッチンや洗面所でレバーハンドルを作動するたびに

「ああ、ここにも地震対策がある」

と思ってもらえればと思います。